【新唐人2015年08月30日ニュース】
千人近い死傷者と甚大な経済的損失を招いた天津爆発事故。中国当局は、原子爆弾のような2度の爆発は、人為的なミスによるものだと認めましたが、依然として多くの情報は公開されず、報道規制もかけられているため、世界中から批判を浴びています。
当局の発表によると、天津市で発生した大規模爆発で28日までに、死者は146人、行方不明者は27人、入院患者は420人で、うち6人が重体だそうです。
イギリス『BBC』の報道で、国連の人権と危険有害物質及び廃棄物に関する特別報道官のバスクート・ツンカク(Baskut Tuncak)氏は、「天津爆発後、市民には健康と安全面に関する情報等は知らされていません。今後、当局の報道規制が、犠牲者の数を増やす可能性がある」と伝えています。
ツンカク 氏は「報道規制による情報不足が、本当の悲劇だ」と述べ、命と健康を守るために充分な情報公開が必要であり、市民は言論や報道の自由などの救済される権利があると指摘しました。
中国問題評論家 李善鑒(り・ぜんかん)さん
「このような事件の報道について、政府は政権の影響を優先し、国民の利益を二の次にしています」
また、 李善鑒さんは、中国当局が故意に情報の発表を遅らせたり、事実を隠ぺいしたりすることはよくあり、過去の四川省大地震(しせんしょうおおじしん)の時も同じ対応だったと指摘しています。
天津爆発事故は、トヨタ自動車や、大型スーパー、イオンなどの日系企業にも大きな損失を与えました。19日、『読売新聞』と『産経新聞』は、同爆発事故における調査結果の情報を迅速に公開するよう中国当局に促しました。
実は、多くの中国人も当局のやり方を認めていません。
不動産と経済の専門家、任志強(にん しきょう)氏は、『政府の能力を試す』という記事の中で「中国当局は、情報が溢れる現代社会で、豚よりも愚かだとまでは言わないが、その低能と無知さかげんが充分に世間に晒されて、社会全体を失望させている」と述べています。
また、ツンカク氏は、中国国内の危険物質および廃棄物における法律が、国際人権、特に情報入手の権利に関する事項が基準に達しているかどうか、国連を代表して、中国当局に再鑑定を要請しました。
情報によると、爆発が起きた倉庫会社、『天津瑞海国際物流公司 (てんしんずいかいこくさいぶつりゅうこうし)』は、危険化学物質取り扱いの許可証の期限がすでに昨年10月に切れたまま、期限を更新した今年の6月まで、許可証なしで運営されていたということです。
また、同社の危険化学物質の保管倉庫は、住民のマンション、高速道路や鉄道とわずか数百メートルしか離れておらず、中国の安全条例で定められている1000メートル以上離すにも違反しています。
また、同社の幹部ら十数人が当局に拘束されており、その中には天津港公安局の元局長の息子、董社軒(とう しゃけん)と国家安全生産監督管理総局局長の息子、楊暉(よう き)などが含まれています。
時事評論家 邢天行(けい てんこう)さん
「今回の事故で明かにされたのは、中国には法制も情報通信の自由もないということです。中国の人々は政権を正す自由も、報道言論の自由もありません。この2点はまさしく中国で問題を引き起こす、もっとも根本的な原因なのです」
8月18日、環境保護団体『グリーンピース』東アジア支部は報告の中で、「天津大爆発は氷山の一角に過ぎない。今年だけですでに江蘇(こうそ)、福建(ふっけん)、山東(さんとう)の各省で13件の爆発事故が起きている。先月南京の化学製品工場で起きた爆発は、附近の化学品倉庫3か所に波及した」と指摘しています。しかし、これらの爆発事故からも、中国当局は何ら解決策を見出していないようです。
今回の爆発による経済損失について、ドイツメディアは、「爆発による経済的損失は数十億ユーロ(1ユーロは約136.0円)から百億ユーロ以上になる」と伝えています。
時事評論家の邢天行さんは、中国共産党こそ、経済成長を阻んでいる根本的な原因であり、この体制や腐敗集団が解体しない限り、中国人への災難は後を絶たないだろうと、述べています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/08/21/a1218785.html(中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/萩野 映像編集/李)